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    May 31

    否定から始まった生き方

    僕は群れるのが嫌いだ。
    5~6人で遊びに行ったり、しゃべったりするのが嫌い。
    僕の中で、せいぜい4人が限界で、
    それ以上の人数と行動をとるのが、昔から嫌いだ。
    だからヤンキーやらチーマーなんて連中は烏合の衆。
    一匹狼の不良の方が憧れた。
    そんな考えだから、どこに行っても、浮いている。
    自分から溶け込んで行こうとは思わないし、やらない。
    それは社会人として、失格なのかもしれない。
    頭の中ではわかっている。
    なら、せめて表面上だけでも上手く付き合えばいいのだけれど、
    それが出来ない。したくない。
    だから僕の周りにいる友人はみな、親友。
    腹を割って話せる奴しかいない。
    変に気を遣うこともない。
     
    八方美人が嫌いで、一番、軽蔑している。
    僕は人に媚びるのが嫌いだから。
     
    「そんなんじゃ、社会でやっていけないよ」
     
    やっていける社会を探した。
    今はまだ、見つからない。
    いや、一生見つからないのかもしれない。
     
    たぶん、苦労する。無駄に。
    きっと、疲れる。必要以上に。
    けど、群れるほうが遥かに疲れる。
     
    それに、居場所が見つかったら、安穏として、僕は何もしなくなりそうだ。
     
    だから今日も小説と向かい合う。
    居場所を見つけるのではなく、作り出すために。
    May 28

    脳衰大臣

    結局、追い詰められて死にましたか。
    情けない。
    普通はね、「窮鼠猫をかむ」っつってさ、
    全てを白日の下にさらすもんだけどね。
    まぁそんな勇気があったら、「なんとか還元水」なんてものは必要ないだろう。
    だったら最初っからピンはねするなよ。
    肝っ玉がないなら、悪事を働くな。
    結局、死んだら真相は闇。
    あんたの墓の中だよ。
    本当にバカだな、あんたは。
    総理の立場も考えられないくらいバカだな。
     
    で、どうすんの安倍さん?
    虚ろな瞳で何を訴えるの?
    もう貴方の言葉に重みはないよ。
    ま、何であれ、安倍さん、生きて責任とってくれ。
    あんたが選んだ大臣の不始末だ。
    ちゃんとケツ拭いてやれ。
    May 26

    熟成

    人は、発信し続けることはできない。
    何かを吸収し、理解し、消化して、発信する。
     
    目まぐるしく変わる世の中。
    自分が何を発信すべきか、
    ゆっくり考えている。
     
    憂国、司法、犯罪、経済、外交問題・・・
    自分の生活。
     
    樽の中は、カオスです。
    カオスから何が生まれるかは、
    解禁されるまで、僕も分かりません。
     
    最近、悲しい事件ばかり起きて、
    憤りや悲しみばかりに触れているから、
    人を笑顔にしたい。
     
    そんなことを思いつつ、
    夜空に向かってタバコの煙をぷかりと吐き出しました。
    May 25

    問い

    山口県光市で起きた、本村弥生さん、夕夏ちゃんを殺害し、
    陵辱した被告人の弁護士21人に問う。
    「あんたらの愛する家族が同じような目に遭っても、死刑反対するよな?」
    死刑撤廃運動したけりゃ、自分の時間でやれ。
    人の想いを踏みにじるようなことをするな。
    もう何度も言ってるけど。
    俺は死刑撤廃に反対。
    死刑撤廃するなら、あだ討ちを認めろ。
    本村洋さんの想いを想像するだけで、涙が出そうになる。
    辛いとか、そんな次元じゃない。
    わかんねぇか?弁護士?
    てめぇの正義は世論に反してる。
    それは正義じゃねぇよ。
    仮に、もし極刑を免れたら、
    それはお前のオナニーみたいなもんだろ。
    馬鹿じゃねぇの。
    May 24

    介在

    孤独を愛する自分がいる。
    誰とも会話をせず、一切コミュニケーションをとらず、
    ただ独り、本を読み、音楽を聴き、映画を観る。
    気が向いたらギターを弾き、歌を口ずさむ。
     
    愛されたい自分がいる。
    多くの人に愛されたいと願い、
    軽薄な男とは思われたくないけれど、
    女性を求める自分がいる。
    恋人がいようと、いまいと。
     
    この年になって、周りの仲間は、
    夢を諦めた奴の方が増えた。
    ギターを捨てて、宗教にはまっちゃった奴。
    家庭を築くために、夢を捨てた奴。
    けどみんなには、それぞれ新しい夢が生まれている。
     
    僕は夢をかなえるために、
    何をしているのだろうか?
    そんなことを思う。
    ただただ未熟と思う。
    世間知らず。
     
    それでも諦めない。
    もうこの生き方しか、できない。
    夢に向かっていくこと。
    大きな夢に立ちはだかる大きな壁。
    大きければ大きいほど、
    足はすくみ、逃げたくなる。
     
    様々な想いが介在する。
    きっと、人はみんなそうだ。
     
    他の人のブログを見る。
    煌びやかに飾ったブログ。
    フォントを使い分けたブログ。
    写真を載せたブログ。
    みんな、色々と試行錯誤しているんだと思う。
     
    僕の夢は小説家。
    小説には飾りも、写真も、フォント変換もない。
    だから僕はこうやって、地味に言葉を綴る。
     
    言葉の可能性と、自分の能力を上げるために。
     
    僕に足りないのは、
    たくさんの人を見ることだと思う。
    知らない土地で
    知らない人たちと触れること。
    そこから何かが始まる気がする。
     
    言い訳ならいくらでもできる。
    行動をとろうと、
    今日、思った。
    May 23

    描く必要のない映画。

    昨日、「BABEL」を見た。
    若干、内容に触れるので、「BABEL」を見たい方は、この先、読まないでください。
     
    僕の感想は、「見るに値しない。」に尽きる。
    この映画で一貫して描かれているのは、人間の愚かさだと思った。
    人間は愚かである。
    そんなことは百も承知である。
    人間が賢いなどと思ったことは一度もない。
    有史以来、人は延々と同じ過ちを繰り返し、
    同じことで悩み続けて、歩んでいる。
    この映画は、その愚かさを強調する。
    とめどない不快感しか残らなかった。
    誰も救われず、やり場のない悲しみだけが残る。
    そんなことは、日常で繰り広げられている。
    仮想の話にする必要性はない。
    差別、争い、葛藤、現実に起きているし、全て、今、目の前で起きている。
    この映画を絶賛する人の気持ちが理解できない。
    自分が賢いとでも思っていたのだろうか?
    BABELは、おそらく、旧約聖書の創世記、11章に出てくる、バベルの塔から
    そのタイトルを取ったと思われる。
    ノアの箱舟の後、人々が天に届かんとする塔を築き始める。
    人々は自らを神格化する。
    そしてその高慢は神の怒りに触れ、
    神は言語を混乱させ、人々を分散させ、その塔の建設を封じたと綴られている。
    もし、この映画の脚本家なり監督にそんな自惚れがあったとすれば、
    もっとも愚かなのは、脚本家であり、監督である。
    人々に、愚かさを説くつもりならば、
    それこそ、愚の骨頂であり、高慢でしかない。
    この映画を見ることは二度とない。
    悲惨な世界は、今、目の前にある。
    目を背けているだけ。
    せめて映画の中では、
    美しい世界を描いてもらいたい。
    戦争も、テロも、殺人も、人種差別も、目を背けているだけで、
    現実の世界に溢れかえっている。
    僕は、笑える映画が見たい。
    そんな現実を一瞬、忘れられるくらい、笑える映画が見たいと思う。
    北野武監督の「監督バンザイ」が気になる。
    映画は娯楽でいいと思う。
    そこにスパイスとして、現実を少しふりかけるくらいが、僕は好きだ。
    途方もない絶望感を映画から与えられて、
    映画館を出たとき、
    現実はもうどうしようもないくらいの悲しみに溢れていると感じる。
     
    ハッピーエンド。
    せめて希望あるエンディングにしてほしいな。
    したがって、僕の価値観による判断は、
    「BABEL」は描く必要もないし、見るに値しない作品である。
     
    それから、菊池凛子さんがアカデミー助演女優賞にノミネートされた演技だが、
    別に、賞を獲るほどのもんでもなく、
    まぁ眼力はあったけど、何でここまで騒がれているのか、
    僕にはわからん。
     
    まぁ要するに、
    現実的な話だから、
    キャストはあまり関係ないということだ。
     
    それから、映画作品として、一番、引っかかったのは、
    様々な人間をリンクさせるために、色々な人が出てくるのだが、
    おかげで、人物描写が浅い。
    疑問符がたくさん浮かんでしまった。
     
    世間の評価というのは、あてにならない。
    やっぱり自分の感性で映画を選ぶべきだ。
    そんなことを思いながら、大理石の上でねりねりされたアイスを食べた。
    May 21

    正常と異常の狭間

    昨日、日テレのドキュメント番組で、
    「少年A」のことを取り上げていた。
    10年前、極めて残虐な快楽殺人犯として、世間を騒がせた、
    あの「少年A」である。
    彼は、僕と年がほとんど変わらない。
    おかげで当時、非難や動機付けにされた書籍、映画などが、たまたま一致していたせいで、
    凄まじい親子喧嘩になった。
    関係ねぇよ。本当に。
    もし関係あるなら、ミステリー作家はみんな殺人犯ってことになる。
    映画監督も、ミュージシャンも。
    この手の事件が起きるたびに、
    マスコミは鬼の首を取ったかのように、
    Rockや、書籍などを取り上げる。
    理解できない犯罪は、みんな「何かのせい」にしたがる。
    「ボーリングフォーコロンバイン」でのマリリン・マンソンのインタビューを見ればわかる。
    彼は実に正確なことを言っているし、あの監督より賢い。
     
    現在、「少年A」はすでに民間人である。
    この国のどこかで、生きている。
    どういう風に生きているかは分からない。
    薬漬けになっているかもしれないし、あるいはロボトミーになっているかもしれない。
    つまり、被害者の方からすれば、事件は終わっていない。
    いや、終わらない。
    なぜなら、「少年A」には罪悪感がないからである。
    先に、快楽殺人犯と書いたが、彼は本当のサディストである。
    サディストについては、以前、「変態だった」で綴ったとおりである。
    つまり異常性癖を満たすために行った行為であり、
    そこに善悪は介在していなかったと見るべきなのだと思う。
    一般的な男性が、AVやポルノを見て、マスターベーションをするように、
    彼は、異常性癖が故に、残虐なものを見て、マスターベーションをしていた。
    過去に、ペーター・キュルテンなどの快楽殺人犯がいるが、
    「少年A」もまた、同様だったと思われる。
    ただしペーター・キュルテンにせよ、幼児虐殺で高名なジル・ド・レにせよ、
    死刑に処されている点からすれば、
    「少年A」に対する処分は軽すぎると思う。
    宮崎勤も死刑判決である。
    「少年A」は更生の余地があるとの司法判断だが、
    それが正しいとは思えないのだ。
    もしも彼が、更生しているフリをしていたら、どうするのだろうか?
    賢い人間であるが故、その可能性を否定できないと思う。
    もし、彼が再犯をしたとき、どうするのだろうか?
    「死刑」では済まされない。
    ご遺族の方々は今も煮え湯を飲んでいる。
    ありきたりな謝罪の言葉が綴られた手紙には何の意味もない。
    かえって反省の色が見えないだろう。
    この国は、犯罪者の人権は守るが、
    被害者の人権は守らない。
    不思議だとは思わないだろうか?
    被害者が未成年であろうと、顔写真を出すのに、
    加害者が未成年だと顔写真は出さない。
    ところが、加害者が成年でも、写真がないと、学生時代の写真を平気で使う。
    何か矛盾を感じるのは僕だけなのか?
     
    ふと思うのだ。
    もし僕が何かしらの犯罪を犯した場合、
    やはりこのブログは問題になるのだろうと。
    僕の蔵書も、CDも、DVDも全て、結び付けようとするのだろう。
    無論、犯罪をするような凡愚ではない。
    愉快犯ほどたちの悪いものはない。
    「くまえり」がいい例だ。
     
    人から注目を浴びたければ、
    注目を浴びるだけの文章を書く。
    僕はそれだけである。
    それが正常。
    人様に迷惑をかけずに生きること。
    それが僕のポリシー。
     
    仮面をかぶっているわけではないよ。
    いつも僕は「すっぴん」だ。
    だから自分の発言には責任をちゃんととる。
    もっとも、問題発言をしてるつもりはないけどね。
     
    May 20

    3つのRで日本を変えよう

    オポンチなオタク向けのCMから一つ、アイデアをパクることにした。
     
    Revolution
    慢性的にボケた日本を変えるには、国民が立ち上がるべし。
    格差も憲法もまるごと変えてしまおう。
    Riot
    対話を拒むのなら、暴れてしまえ。
    耳を傾けてもらおうなんて思うな。
    引っ張って耳にぶち込め。
    Root
    自分の生まれた国を愛せ。
    そして踏みにじる奴を許すな。
     
    と、まぁ書いてみたが、
    実際にやったら、バカか英雄かどっちかだ。
    僕はやらないよ。バカじゃないし、英雄になる気もない。
    右でも左でもないし。
    僕はただ、
    大した格差もないのに、「格差社会」って騒ぎ立てて、
    目の前に核弾頭があるのに、「平和と対話」を強調する、
    この国の政治に反吐が出るだけよ。
    May 18

    外道死すべし

    先ほど、ようやく長久手での拳銃立てこもり事件が解決した。
    尊い人命を失っての、極めて悪辣な事件だった。
    殉職した警官は、前途ある、SAT隊員だった。
    SATとは、「Special Assault Team」の略で、
    直訳すれば、特別襲撃隊という意味である。
    つまりわかりやすく言えば、強行突入部隊である。
    アメリカの「SWAT」と位置づけは同じと言われているが、
    今回の事件での犠牲を見る限り、同意とは思えない。
    ちなみに「SWAT」とは「Special Weapons and Tactics」の略語で、
    こちらは特殊武装戦術部隊という直訳になる。
    正確には「SWAT Team」である。
    「SWAT」は映画化されたり、様々な作品にも登場しているので、
    世界的にも有名だと思う。
    MP-5というサブマシンガンやSPAS12と呼ばれる軍用ショットガンで武装しており、
    犯罪解決を迅速に処理する。
    軍隊並みとも言われる戦力と戦術を持っていると聞く。
    必要ならば、犯人を射殺する。
    では、今回、出動した「SAT」はどうか。
     
    「SAT」も武装はしている。
    ただし、原則的には拳銃とライオットエージェント弾と呼ばれる、殺傷能力の低いグレネード、
    まぁガス弾と言えばわかりやすいが、それがメインらしい。
    つまりあくまで、犯人を「生きたまま逮捕する」というスタンスなのである。
    だが、今回の事件、人質が逃げ出してから、5時間近く説得して、投降してきたが、
    そこまで引っ張った理由は何なのか?
    人質がいなくなった時点での突入はあり得なかったのか?
    そこがどうもひっかかる。
    犯人が非武装だというならば、まだわかるが、
    拳銃を所持しているのである。
    もし万が一、逃走して、他の民家に立て篭もった場合、被害はもっと広がったかもしれない。
    ガス弾で威嚇して逮捕ならば、機動隊でもできる。
    それが困難だから、SATを召集したのではないか?
    SATが創設されてから、常々その出動についての議論が交わされる。
    以前、警視庁の場合、どうやって出動させるかというのをテレビで見たが、
    非常に時間がかかるのである。
    出動要請から、実際に出動させるまでに、ものすごく色んな人が関わっていて、
    現場のことなんかまるで考えていないくらい、時間を要する。
    おそらくあれから年数が経つので、かなりスピーディーになったとは思うが、
    今回、実質的にSATは何もさせてもらえなかった。
    目の前で仲間が凶弾に倒れたにも関わらず。
     
    犯人は元暴力団組員とのことだが、足を洗ったのではなく、
    破門になっているのだ。
    つまり外道である。
    さっさと射殺すべきだったと思う。
    こういうと、アムネスティやらなんやらが、
    「加害者にも人権が!」
    とかまた言うだろう。
    なら、僕もまた言おう。
    「じゃあ、貴方の家族が殺されても同じことが言えますか?」
     
    凶悪犯に対しては、発砲を躊躇わないでもらいたい。
    警察がぬるくなれば、
    悪は栄える。
    「正義」を名乗っているのだから、
    僕は警察の力を信じる。
    どうかこれ以上、警官と罪のない人の命が奪われないことを切に願う。
    そして、殉職された警官とそのご家族に、心から哀悼の意を表します。

    午後10時King’sBAR

     午後10時、少しふらつく足で、キョウジはスツールにどかっと座り込んだ。
    プレスリーが流れる店内を見渡してから、キョウジはニヤリとした。
    「ブルドックくれ。」
    そしてまたニヤリと笑った。
     
     さっきまでキョウジは職場の同僚たちに囲まれ、出世祝いの飲み会をしていた。
    20代での管理職は異例の人事で、周りは驚きとやっかみでキョウジを見ていた。
    「いや~キョウジ、お前、ほんとにすげぇな。コネもねぇのにさ、すげぇ出世じゃん。」
    ビールでいい塩梅になった同期のコウタが絡んできた。
    「あのな、コウタ、俺はな、出世することしか頭にねぇの。わかる?出世して、稼いで、いい暮らしをするのさ。」
    キョウジはいささか、天狗になりつつ、本音をもらした。
    そう、キョウジには出世と高収入だけが大事だった。
    そのために、多少は汚いマネもしてきた。
    手段はどうあれ、結果を出せばいい。結果がよければ、誰でも認めてくれる。それがこの世の中のルールだと
    キョウジは信じている。
    現に、キョウジは今回の出世で年収2千万近くになる。
    「へへ、俺はな、親父とは違うのさ。俺はな、勝ち組よ。」
     
     少し酔いが抜けて、さっきまでのやりとりを思い出している間に、
    ブルドックは俺の前で、ボーっと突っ立っていた。
    「ふん、勝ち組に乾杯。」
    キョウジは一人で自分が掴んだ栄光に酔いたかった。
    何しろ同僚のほとんどはキョウジのやり方が気に入らないとかで、いつも反感を覚えているのだ。
    それがこうして出世して、認められたとなると、なおさらで、
    出世祝いとは名ばかりの、ただの飲み会だった。
    だからさっさと退散して、適当なBARを探していたのだった。
     ブルドックに口をつけながら、キョウジは店内を見渡した。
    相変わらずプレスリーは流れ続けている。甘ったるい声がBARの中を甘ったるい雰囲気にしている。
    こういう夜こそ、いい女を抱きたいとキョウジは思った。
    出世のためにキョウジは女性関係を絶っていた。
    そういうものは煩わしいだけだと思っているし、
    かといって遊びまくっていたら、いざというときに足をとられる。
    だからこの何年かは、ただがむしゃらに仕事だけをしてきた。
    しかしそれも今日で一段落ついた。
    だからキョウジは夜の街に一人で繰り出したのだった。
    今日、やれる女を捜すために。
     
     BARの中を見渡していると、一人の女性と目が合った。
    そんなに派手ではなく、かといって地味でもない。
    キョウジ好みの女性だった。
    「一人か・・・さてどうやって口説いたもんかな。久しぶりだから勘が鈍っちまった」
    そんなことを思いながらキョウジはその女性を見つめていた。
    グラスに口をつけると、もうすっかりグラスは空になっていた。
    「スクリュードライバーを。」
    バーテンにオーダーしたときだった。
    「私も、同じのを。横、いい?」
    視線をそらした合間に、その女性はキョウジの横に来ていた。
    「あぁ、いいよ。」
    意外な展開にキョウジは少し驚いた。
    「今夜はいい夜になりそうだ・・・」
    そんなことを思い、キョウジはまたニヤリと笑った。
    「私、レイコって言うの。貴方は?」
    「レイコか、綺麗な名前だ。俺はキョウジ。よろしく、レイコさん。」
    胸の高まりを抑えながら、キョウジは自己紹介をした。
    さっきは暗がりでよく見えなかったが、カウンターの照明に照らされたレイコは
    美しく、キョウジの好みだった。
    「さっき、どうして私のこと、見てたの?」
    「どうしてって、レイコさんが綺麗で気になったからさ。」
    キョウジの体は熱を帯びてきた。さっきまでぬるま湯くらいだったアルコールが、今はガソリンのように体を駆け巡る。
    プレスリーの「ハウンド・ドッグ」が流れ始めた。
    キョウジの頭の中では、プレスリーが腰を振っている姿が浮かんだ。
    「ねぇ、乾杯しよ。」
    レイコの一言でキョウジは冷静さを少し取り戻すと、
    「そうだね。じゃ、この出逢いに。」
    キンと甲高いグラスの音が響いた。
    見つめあいながら、お互い、スクリュードライバーを口に含んだ。
    高揚したキョウジの体の隅々まで、アルコールが流れていった。
     
     「ねぇ、キョウジさん、さっきニヤついて私のこと見てたでしょ?」
    「おっと、キョウジでいいぜ。別にニヤついて見てたわけじゃない。変な意味でな。」
    「そうなんだ。あ、私のこと、レイコでいいから。」
    そういうとレイコはグラスを傾けて、
    「じゃあ、何かいいことでもあったのかしら?」
    キョウジは一瞬、考えた。
    自分の出世を自慢たらしく言うのはクールじゃない。
    かといって、黙ってるってのも何だか落ち着かない。
    結局、キョウジは当たり障りのない程度で
    「昇進が決まってね。会社で。まぁその嬉しさだよ。」
    とだけ告げた。
    するとレイコは
    「昇進?どのくらい?栄転とかかしら?」
    意外にも深くキョウジの出世に食いついてきた。
    キョウジはまた、考えた。
    ヘタに自分のことを話せば、金につられてくっついてくるかもしれない。
    「俺は今夜だけ過ごせればそれでいい」
    酔いが回った頭でそんなことを考えながら、
    「まぁこの年では早い昇進だ。」
    キョウジは最低限度の情報でとどめた。
    一発だけの関係にそれ以上は必要ない。
    それに対してレイコは
    「ふぅん、昇進して嬉しいんだ。」
    「え?普通だろ。誰だって昇進すりゃ嬉しいだろ?」
    「どうしてそんな出世にこだわるの?」
    レイコはことごとく、キョウジの考えとは別の答えと質問を投げかけてきた。
    キョウジはそれらの質問に戸惑い、答えながらも、
    こいつはもしかしたらかなりの世間知らずかもしれないという思いが頭をよぎった。
     
     「出世するだけで楽しいかな?私はそういうのわからない。他人を押しのけてまで上に上がりたい気持ち。」
    レイコはキョウジのことが丸っきり理解できないようだった。
    そのせいか、キョウジはいつの間にか酔いが醒めて、きついアルコールを口にしても酔えなくなっていた。
    そして本音がポロリとでた。
    「俺の、俺の親父はな、高卒で就職してな。まぁ学歴が物を言う時代だ。出世とは無縁の生活を送ってきたんだ。
    定年までほとんどヒラだぜ?俺には理解できなかったね。周りに先を越されても、なんとも思わない親父が。」
    そういうとグラスをあおった。もう中身が何かもわからなかった。
    「ギャンブルも、女遊びもしなかった。なのに出世もしねぇでさ、何が楽しみだったんだか。
    まぁ結局、聞く前に死んじまったけどな。」
    すると、レイコはグラスを置いて席を立った。
    「ちょっと待ってて。メイク直してくるから。」
    そういうと、BARの奥に消えていった。
    相変わらずプレスリーが流れている。
    「そういやぁ親父も好きだっけな、プレスリー・・・」
    そんなことを呟いた刹那、酔いが一気に回ってきて、キョウジはカウンターに突っ伏した。
     
     割れんばかりの笑い声でキョウジは目を覚ました。
    さっきまで聞こえていたプレスリーが今はかすかにしか聞こえない。
    振り返ってみると、BARの中は大賑わいだった。
    サラリーマンの集団がやたらに盛り上がっている。
    「俺としたことが・・・逃がしちまったか・・・」
    レイコの姿は無かった。
    「まぁ寝ちまったんだ、しかたねぇか・・・。悪い、水くれ。」
    よく冷えた水を一気にキョウジは飲み干した。
    火照った体と頭を冷やすのには十分なくらい、よく冷えていた。
    グラスの氷をカラカラと回しながら、キョウジは何も考えなかった。
    その時、何気ない、後ろのサラリーマンたちの会話が耳に入ってきた。
    「いやぁ、リュウジ、本当にお前はいい奴だよ。」
    「まったくだ。こんなにいい奴はいないな。」
    「なかなかいないぜ?自分の出世を我慢して俺たちを支える奴なんて。誰にでもできることじゃないよな。」
    「いや、そんな・・・いいんだよ、俺は。妻と息子が不自由なく暮らせれば。それでいいんだ。」
    「そこだよ、そこ!リュウジのいいとこはさ。滅私奉公ってやつだよなぁ。」
    キョウジは一瞬、耳を疑った。
    そしてサラリーマンのやりとりに聞き耳を立てた。
    「リュウジ、本当にいいのかよ?この間の取引、俺の手柄にしちゃって。大口だぜ?あの取引は。」
    「かまわんよ。今月、お前、成績悪いだろ。けどあれでチャラになる。」
    「そうだけどよ、リュウジ、そう言って、先月も自分の手柄、渡したろ?」
    「俺はね、自分だけが成績をとっても意味がないと思ってるんだよ。全員がトータルで頑張ってる方が、会社も伸びると思ってる。
    だから成績が悪い奴に手柄を回すのも大切な仕事だと思ってるんだよ。」
    「まったくリュウジは馬鹿がつくほどのお人よしだぜ。ま、そこがいいとこだけどな。」
    その一言でサラリーマンたちはまた大声で笑い出した。
    キョウジはくるりとスツールを回して、そのサラリーマンたちを見た。
    「あれは・・・親父?」
     
     「俺はさ、高校出てさ、20で結婚して息子も生まれた。まぁこれから金はかかるだろうけどさ、とりあえず家は親父の持ち家だし、
    それにうちの会社は成績で給料が決まるだろ。だから別に出世して仕事を増やそうとは思わないんだ。」
    そういうとリュウジはビールをくっとあおった。
    「みんなはさ、養育費だけじゃなくて、住宅ローンとか色々大変だろ。だからそういう奴こそ、稼ぐために出世すればいいんだよ。
    俺は営業先を回ってりゃ、それなりにもらえるからな。まぁ元気な限りはこのやり方でいくさ。」
    その一言で、水を打ったように静かになった。
    プレスリーの「監獄ロック」だけが聞こえてくる。
    キョウジは唖然とした。
    夢を見ているのかと思ったが、それにしてはリアルで、現にこうしてキョウジは起きている。
    目の前にいるのがキョウジの父、リュウジなら、タイプスリップしたというのだろうか。
    しかしカウンターにはキョウジのグラスと、レイコが残したグラスが並んでいる。
     目の前にいるサラリーマンたちは泣いていた。
    「おいおい、泣くなよみんな。」
    「リュウジ、お前は最高の男だ。家庭を愛して、仕事も熱心で、おまけに仲間も大事にしてさ。
    嬉しくて涙も出るぜ。」
    それを聞いたリュウジも一瞬、目頭を押さえたが、次の瞬間、プレスリーの曲に合わせてマネをはじめた。
    すると、湿っぽくなっていた連中が、
    「お、リュウジの十八番が出たぜ!よっ日本のプレスリー!」
    それを見たキョウジはとっさに駆け寄った。
    幼い頃、キョウジの前で時々やってくれた、あのプレスリーの物まね。
    「親父・・・」
    「お、なんだ、お前も来てたのか。なんだか恥ずかしいところを見られちまったなぁ・・・。」
    「そんなことねぇ。親父、親父はかっこいいよ。俺、親父のこと勘違いしてたよ。」
    キョウジは溢れ出る感情を抑えられなかった。
    「なぁキョウジ、お前、ずいぶん出世したみたいだな。父さんとは正反対だな。まさに反面教師か。ははは。」
    リュウジはひとしきり笑うと、息子の目を見て、
    「いいか、キョウジ、これだけは忘れるな。人様に迷惑だけはかけるな。人様を泣かすようなマネだけはするな。
    いいな。あとはお前の好きなようにやればいい。お前の人生だからな。」
    キョウジの肩をぐっと掴んでリュウジは言った。そして、
    「さぁてそろそろ帰るか。あんまり遅くなるとまたカミサンにどやされる。」
    口々にいろんなことを言いながら、リュウジたちは店を出て行く。
    「待ってくれ、親父!もっと聞きたいことが、話したいことがあるんだ!」
     
     「・・・ちょっと、ねぇ大丈夫?キョウジ。」
    「親父・・・はどこだ?」
    「やだ、酔っ払って夢でも見たんじゃないの?ねぇ・・・これからどうする?」
    レイコはすっかりメイクを直してきた。というか、けばけばしくなっていた。
    キョウジは振り返って、さっきまでリュウジたちがいた場所を見た。
    そこには空のグラスがいくつか並んでいるだけだった。
    キョウジはふらふらとそこに行くと、リュウジのいた場所に立った。
    なんとなく、キョウジはかがんでみた。
    古びたテーブルの裏に、落書きがあった。
    その中に、「午後10時、リュウジ万歳!」という落書きを見つけた。
    すると、レイコが
    「ねぇ、よかったら家に来る?ゆっくり休んだら?」
    キョウジは一瞬、考えた。そして、
    「家に帰ってゆっくり休むよ。疲れちまった。」
    「え、わ、私は?」
    「さぁ?家に帰って寝ればいい。俺と同じようにな。」
    ガコっという音があごからした。ヴィトンのバッグでアッパーを食らったようだ。
    「色んな意味で、目が覚めたぜ。」
    キョウジは呟くと、BARをあとにした。
    時計は午後10時30分を指していた。

    負の連鎖

    先日、NHKの「その時、歴史は動いた」という番組で、
    江戸川乱歩を取り上げていたので、見てみた。
    乱歩は大正時代、民衆にいわゆる「大衆文化」が根付いてきた頃、
    その最先端であった、「エロ・グロ・ナンセンス」に注目した。
    そして「芋虫」などの独特な世界観を作り上げたのだが、
    これが太平洋戦争のおかげで、全て検閲にあい、全ての著作が発禁となった。
    非道徳的だからである。
    そして戦後、乱歩は無になった日本に、
    ミステリー小説というジャンルを確立すべく、
    自らが発起人となり、現在の日本推理作家協会をつくり、
    新しい人材の発掘とバックアップをした。
     
    これは以前、大沢在昌さんの講演で聴いたことでもあったので、
    改めて乱歩の素晴らしさに気づかされるくらいだったが、
    番組のゲストにいらっしゃった森村誠一さんの言葉が印象に残った。
    「ミステリー小説というのは、その国の文化を計るのにもっとも分かりやすい指針となるんですよ。
    つまりミステリーというのは、常にその国の文化の最先端なんです。」
    というようなことを仰っていた。
    これは非常に重要なことだと思った。
     
    なぜか?
    今、日本の出版界でもっとも売り上げが悪いのが小説だと言われている。
    では何が売れているかというと、以前もこのブログに書いたと思うが、
    新書とライトノベルと呼ばれるものである。
    小説で例外的に売れているものもある。
    ただ、それは小説家の作品でないものが多い。
    お笑い芸人の書いたものがよく売れている。
    別にお笑い芸人を馬鹿だとは思っていない。
    ただ、本業が中途半端なうちに、副業的にやらんでくれとは思う。
    まぁ頼む出版社が一番、悪いのだが。
    では、なぜ小説が売れないのか。
    周りに軽くだがリサーチしてみた。その理由を並べてみる。
    「ハードカバーは高いし重いし、持ち歩きづらい。」
    「高いし、つまらなかったら損した気分。なら文庫でいいかな。」
    「なんかさ、時間かかるじゃん。一気に読まないとわかんなくなるし。」
    ぜ~んぶ言い訳だった・・・。
    要するに小説を読むほどの読書力がない。それだけだ。
    例えば夏目漱石の「坊ちゃん」は文庫でしかも古本なら百円で買える。
    だが、読まない人が多い。
    なのに下らないライトノベルはバカスカ売れている。
    その辺にいるような女の子の写真集も売れている。
    要するにめんどくさいだけなのだ。
    オタクがオタクを増やす極めて不気味な文化が迎合されている。
    ニュースなどを見ていても、日本から世界に発信している文化は
    オタク文化である。
    まぁよくもこんな下らないものを文化として発信できるなぁと思う。
    おそらくこの先、日本からノーベル文学賞を獲るような作家は生まれてこないだろう。
    出版界がそれを拒んでいるのだから。
    で、
    先日のような猟奇的事件が起きると、真っ先にメディアが取り上げるのが、
    犯人の人物像を描き出すために、犯人の好む文化である。
    これみよがしに、「殺人などの猟奇的描写があるマンガを読んでいた」
    とか言うわけだが、ちょっと待てと言いたい。
    じゃあ2時間ドラマを好んでみている人は殺人するのか?
    サスペンスなんて必ず人が殺されるけれど、それは問題ないのか?
    なぜ映画は規制されるのに、ドラマは規制されない?
    おかしいだろ?
    小説だってそうだ。
    殺伐とした時代だから、殺伐とした内容の小説が描かれるのは当然である。
    しかし現実に起こる事件は、まさに「事実は小説より奇なり」である。
    小説家は何を描けばいいのだ?
    ありきたりのことを描いても売れないなら、
    過激なことを書かざるを得ない。
    ところが、それを上回るような事件が起きると、バッシングを浴びる。
    なぜ一人の狂人のせいで作品自体が否定されなくてはならないのか?
    江戸川乱歩を読んだ人間が全員、同じような行動をとったか?
    答えは言うまでもない。
    一部の狂人のために貴重な文化を規制するのは、
    もはや検閲以外の何者でもない。
     
    いつ、気づく?
    この終わりのない連鎖に。
    あとどれだけ創作する人間を傷つけたら気が済む?
    健全なものほど不健全なものはないのだ。
    いつになったら気づく?
    いつまでこの国はアメリカの真似事をするつもり?
    May 17

    次は何か

    母親を殺め、首と腕を切断し、
    さらにはその腕を塗装し、植木鉢に突き刺し、
    ネットカフェでビースティーボーイズのDVDを見てから、
    首を持って出頭した狂える人間。
     
    この事件がきっかけで
    この国は何を規制するのか。
    ゲームか、Rockか、マンガか。
    何か事あるたびに、この国は様々なものを規制してきた。
     
    僕は
    ゲーム、Rock、マンガ、小説で
    命の尊さ、生きる意味を見出してきた。
     
    もしもこれらを規制するなら、
    それは検閲と同じではないだろうか。
    しかし同時に、
    言論の自由を盾に
    やりたい放題やってる奴がいるのも事実だ。
     
    基準がないから、難しい問題だ。
    難しいから時間がかかる。
    だからこの国は、端折って、一括りにして、規制してしまう。
    一度、しっかり考えてもらいたい。
    マンガで人殺しを描くと問題になる。
    けど小説なら日常茶飯事である。
    2時間ドラマでは、殺人は常套手段だ。
    けど規制はされない。
     
    僕は小学生の頃、
    江戸川乱歩を読み漁り、
    今も愛読しているが、
    人を殺したいなどと思ったことはない。
     
    僕は今、
    人の心に何かを残す小説を書きたいと思っている。
    迷い、悩みを少しでも改善するきっかけになればと思っている。
    この殺伐とした世の中を
    少しでも変えたいから。
     
    命は重い。
    何よりも重い。
    その重みを少しでも分かりやすく伝えたいと思う。
    May 15

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    もしも
    貴方に
    とてつもない悲しみが訪れて
    前を向くことすら困難なら
    その悲しみをシェアすればいい
     
    独りで解決できる悲しみも
    誰かとシェアすれば
    その時間は短くなる
     
    そうすれば
    前を向く時間も早まる
     
    なんでもかんでも
    独りで抱え込むことはない
     
    肝心なことは
    悲しみをどう乗り越えて
    どう消化するか
     
    正面から向かい合って
    逃げないこと
     
    もしこれを読んだ貴方が
    悲しみにくれていたら
    こう思うかもしれない
     
    簡単に言ってくれる
     
    簡単ではないよ
    僕も悲しみを乗り越え
    今も抱えている
     
    少し
    起き上がろうか
    少し
    前を向いてみようか
    少し
    歩き出してみようか
     
    少し
    忘れてみようか
     
    笑ってみようか
    少しだけ
    May 14

    パチモノ

    中国の遊園地に、とても気持ちの悪いぬいぐるみが闊歩している姿を見た。
    不快感を覚えたと同時に、
    「あぁ、相変わらずだねぇ」
    と思ってしまった。
    どうも中国という国には、著作権というシステムが定着しない。
    これは国民性の問題なのだが、
    ではその国民性を正すのは誰かといえば、
    それは国でしかない。
    つまり国がきちんと教育するなり、管理しなければならないと僕は思う。
     
    かつて日本にもまがい物は氾濫していた。
    「ガソダム」「ゴヅラ」なんてのがいい例だ。
    ただ、ターゲットが子どもという点で、すぐに淘汰された。
    子どもというのは、まがい物を簡単に見抜くのだ。
    それ以外でも、時々、まがい物を見かけた。
    「アディダス」じゃなくて「アドニス」
    「エアマックス」じゃなくて「スーパーマックス」
    「ギブソン」じゃなくて「ギブボン」あるいは「ギボン」
    これらのほとんどは中国製か韓国製だった。
    こういうものは日本では淘汰される。
    「パチモノはダサい」からである。
    淘汰される理由がちょっと違うと思う。
     
    ダサいからではダメなのだ。となんだかバカボンパパみたいだが、
    やはり著作権や肖像権というものが存在しているからこそ、
    パチモノは淘汰されなくてはならないわけである。
    僕はブランド物には興味がないので、
    本物と贋物の区別がつかないけれど、
    贋物を買う人の心理というのは、
    「本物が欲しいけど、本物は高くて買えないから・・・」
    だと思うけど、
    だったら買うなよと思う。
    どうして日本人はブランド物にこだわるのだろうか?
    僕より若くて、働いてもいない学生がブランド物を持っていると不思議で仕方ない。
    汗水たらして、稼いで、自分で買ったならともかく、
    売春してまで欲しいだろうか?
    そこまでして、挙句の果てには贋物を手にして、
    バカの極みである。
     
    贋物を買う人がいるから、贋物は消えないのである。
    中国の遊園地を見れば然りである。
    パチモノキャラクターが消えたとたん、客足が遠のいた。
    しかしながら、相変わらずパチモノ市場は健在である。
    巨額のマネーが動くところに、必ず贋物は存在する。
    偽札が存在するのがその証拠だ。
     
    僕はCD、DVD、書籍、ゲームなどを大量に所有しているが、
    全て、正規品である。当たり前か。
    BSで放送された映画をDVDに焼くこともあるけれど、
    これは個人的に楽しんでいるものだから、法には抵触しない。
    ネットが普及して、違法ダウンロードユーザーが溢れているが、
    果たして、その行為が何をもたらすか理解しているのだろうか?
     
    アーティストは作品を発表し、そこから発生する売り上げ、著作権や肖像権で収入を得る。
    海賊版や、違法にダウンロードをする輩が増えれば、
    アーティストの収入は減り、作品を発表することが様々な観点から難しくなる。
    この愚かな連鎖が続けば、アーティストは消える。
     
    昨今、日本人のモラルについて問われるシーンが増えた。
    非常に恥ずべきことである。
    パチモノを容認すれば、中国のことを笑っている余裕はなくなる。
    礼節を重んじる日本人でありたいと思う。
    日本もこれを機に、しっかりとパチモノを取り締まってほしいものである。
     
    May 13

    未熟者

    今日は母の日です。
    僕も毎年、カーネーションなどの花束や、何かしら感謝の気持ちを贈ってきました。
    しかし、今年は資金もなく、
    かといって、いまさら「肩たたき券」をあげる年でもなく・・・。
    己の未熟さを痛感する日となりました。
    この調子だと、父の日も同じことになりそうです。
    去年のクリスマスが、今のところ最後のプレゼントになっている。
    親父には、安物だけどスコッチウイスキーを。
    おかんには、薔薇を一輪。
    働いているときは、奮発して、
    オールドパーの24年ものを親父に贈ったり、
    花屋で30分くらい悩んで花束を作ってもらって贈ったりした。
     
    恋人が僕の両親に贈り物をするところを見ると、
    とても自分が情けなく思える。
    別にモノにこだわる必要はなくて、
    むしろ小説家を志しているのだから、
    感謝の手紙でも書けばいいのだけれど、
    書けば書くほど、自己嫌悪に陥る。
     
    何かバイトをしたいと最近、思う。
    しかし、体調面が安定していないから、
    お断りされてしまう。
    自分のタバコ代すら賄えない現状が情けない。
    そして腹が立つ。
     
    ここ最近、妙にストイックになってきていて、
    楽しいという感覚が失われつつある。
    なんだかどれも座興に過ぎない気がしてしまう。
    今、僕からもっとも縁遠いのは恋愛で、
    まぁこれは不要とも言える。恋人がいるのだから。
    必要なのに縁遠いのが、収入だ。
     
    もし、手早く稼いだら、また病状は一年前に戻ってしまう。
    かといって、現状維持では、何もできない。
    このままだと心が荒んで、小説に反映されそうだ。
     
    せめて心だけは潤っていたい。
    心だけは病と無縁でいたい。
     
    そうすれば両親に感謝の言葉を素直に伝えられる気がする。
     
    貴方はご両親に感謝していますか?
    May 09

    午後11時 King’sBAR

     薄暗くて、いつも古臭いブルースが流れている、このBARで、
    ナオミはいつものように、ドライマティーニのオリーブを転がしていた。
    (もうここには来ない)
    そう心で決めたのに、足が自然とここに来てしまった自分の弱さにナオミは苛立ちを覚えていた。
    だから、もう30分前に頼んだドライマティーニに口をつけることをせず、
    ただただ、オリーブを転がしているのだった。
    「どうですか、一杯。」
    声をかけてきた男性にナオミは一瞥をくれると、
    またオリーブを転がした。
    「よかったら、一杯おごりますよ。テキーラサンライズなんていかがですか?」
    男は勝手に話を続けていた。
    ナオミはさっきの一瞥で、この男の軽薄さを読み取った。
    (スーツはそれなり。けどタックが入ってる。それにジャケットのサイズがあってない。タイピンも曲がってる。靴も汚れてる。)
    ナオミにとって、これだけの条件が揃えば、十分、お断りの理由になった。
    「見ての通り、あたしはこのマティーニと遊んでるの。二杯目なんていらないわ。それから、チャック開いてるわよ。」
    男はナオミの一言で動揺した。
    ちゃんと閉まっているのに、あわてて股間のチャックを確認した。
    (やっぱりね。こういうだらしのない男は心当たりがあるから、焦るのよ。最低ね。)
    冷や汗をかきながら、男は退散した。
    ナオミはというと、相変わらず、オリーブをつっついたり、転がしている。
    ふと時計を見ると、もうすぐ午後11時だった。
    別にナオミは待っているわけではないし、帰ることもできるのだけれど、
    なんとなく、11時まで、ここにいなくちゃいけない気がした。
    それもドライマティーニのオリーブをつつきながら。
     
     水曜日の夜なんて、一番、BARが暇なときなのかもしれない。
    バーテンは女の子とのおしゃべりに夢中になっているし、
    客もまばらだ。
    ナオミがあしらった男もいつのまにか、消えていた。
    気づけば、BARにはナオミと、カップルが一組だけになっていた。
    そのカップルも終電がどうのと話をしている。
    ナオミだけが、何の干渉も受けずに、ただ1人オリーブと戯れていた。
    だからといって、ナオミはオリーブと好きで戯れているわけでもなく、
    なんとなく、待っているのだった。
    来るはずのない誰かを。
     
     不意にナオミの後ろで聞き覚えのある声がした。
    「バランタイン、ロックでくれ。」
    ナオミは一瞬、ハッとして、躊躇った。
    「横、失礼するよ。」
    声の主はナオミの返事を待たずにスツールに腰掛け、
    バランタインをくっとあおった。
    ナオミはまだ躊躇っていた。
    しばしの沈黙を破ったのは、声の主。
    「やぁ、やっぱり来てたね。」
    その一言で、ナオミの躊躇いは消えた。
    「・・・なんで、どうしてきたのよ。」
    ナオミは決して視線を動かすことなく呟いた。
    「どうしてって、君が待ってる気がしたから。ここにくれば逢えると思ったからさ。」
    ロックグラスの氷をゆっくりと回しながら、男は答えた。
    ナオミはキッと声の主を睨みつけ、
    「あたしは待ってなんかいない。ソウイチに逢いたいなんて思ってないわ。勘違いしないで。」
    ナオミは心を見透かされた気がした。ソウイチが来るのを待っていたことを。
    けど、そこに実際、ソウイチが現れることを望んではいなかった。
    ナオミはすっかりぬるくなったドライマティーニを一気に飲み干した。
    「相変わらず無茶な飲み方するね。君は。体壊すよ、本当に。」
    ソウイチは正面を見据えたまま話している。
    「それに君が好きなのはドライマティーニじゃなくて、ジントニックだ。君はオリーブ、嫌いだからね。」
    気づけば、カップルも立ち去り、BARの中は、ソウイチとナオミだけだった。
     
     「いまさら、何の用?あたしたち、もう終わったでしょ。」
    ナオミもソウイチのように正面を見据えたまま、話し始めた。
    2人の空気を察したように、バーテンは奥に引っ込んでいる。
    「君に謝りたくて。理由にならないかな。」
    ソウイチの言葉はナオミの傷をつついた。
    「謝る?何を?勝手にいなくなっておいて、よくそんなことが言えるわね。」
    ナオミは苛立ちを抑えるためにタバコに火をつけた。
    「あれ、君、タバコやめたんじゃなかった?」
    「お生憎様、貴方と別れてから、また吸ってるの。」
    「慣れないタバコに、似合わないカクテル。解せないな。」
    「なら覚えておくといいわ。女はね、男が変わると好みも変わるのよ。」
    ナオミは強がりを言いながら、タバコの煙を吐き出した。
    「そうか、君、新しい男ができたのか。」
    ソウイチは少し淋しそうな声で呟いた。
    そしてバランタインをゆっくりと飲み干した。
    時計は午後11時40分を指している。
    「やれやれ、せっかく逢えたのに、もう時間がない。そろそろ行くよ。」
    そういうとソウイチは席を立ち、BARをあとにした。
    (どうして・・・こんなことに・・・)
    ナオミはぐっと感情を堪えると、すぐにソウイチのあとを追った。
     
     BARの外で、ソウイチは野良猫と遊んでいた。
    「ほれ、よしよし、お前は人懐っこいな。お前は幸せな猫だよ。」
    ナオミの気持ちも知らずに猫と戯れているソウイチの姿を前に、ナオミは、自分の感情を抑えられなくなった。
    「いい加減にしてよ!いったい、何なのよ。何のつもり?なんのマネ?」
    ナオミはソウイチに向かって怒鳴った。
    その声を聞いて、猫は反射的に逃げてしまった。
    ソウイチは猫のいた場所にかがんだまま、
    「大きな声を出すなよ。見ろ、猫が逃げちゃったじゃないか。」
    ナオミはのらりくらりのソウイチの姿に感情が爆発した。
    「猫が何なのよ!そんなに猫が大事?あたしのことはほったらかしにして、あたしは都合のいい女じゃないの!何度言えばわかるのよ!」
    涙まじりの怒号に、ソウイチはばつが悪そうな顔をして、立ち上がった。
    スラリとした長身にタイトなスーツ、ナオミがプレゼントしたネクタイとタイピンに、ピカピカのゴアブーツ。
    いつものソウイチがそこにいた。
    「君には悪いことをしたと思ってる。」
    ソウイチは悲しげな顔で話し始めた。
    「僕だって、こんなことになるなんて思わなかった。」
    すっとナオミの肩を抱くと、ソウイチはナオミの額にキスをした。
    「どうして・・・どうしてあんなことしたの・・・。」
    ナオミは大粒の涙を流しながら、ソウイチに尋ねた。
    「どうしてって・・・ほっとけなかったんだよ。」
    そういうとソウイチは空を仰ぎ、話し続けた。
    「なぁ、目の前で、子猫が車に轢かれそうになって、ほっとけるかい?」
    ナオミは何も言い返せなかった。
    「僕だってね、まさかこうなるとは思わなかった。」
    ソウイチの瞳から、涙がすっと零れ落ちた。
     
     あの日から、ちょうど一週間。
    そう。先週の水曜日、ソウイチはナオミの前から姿を消した。
    交通事故で。
    ソウイチは、車道に飛び出して、すくんでしまった子猫を助けようとして、その命を落とした。
    ほぼ即死で、病院に搬送されて間もなく、その灯火が消えた。
    ソウイチは別に猫が大好きというわけではなかった。
    ただ、弱いものを守るためなら、自分の命を顧みない、少々、無鉄砲なところがあった。
    いつだったか、酔っ払って昏倒した中年男性に何の躊躇いもなく、
    人工心肺蘇生法を行ったり、
    チンピラに絡まれている女性を助けようとして、半殺しにされたこともあった。
    それでもソウイチは、いつも苦笑いを浮かべながら、
    「なんかほっとけないんだよね」
    の一言で片付けてきた。
    そのたびにナオミは寿命が縮む思いをして、それこそ別れようとも思った。
    でも、この世知辛いご時勢で、これだけ純粋な人はいない。
    そんな想いがナオミの雑念をいつも取り払ってきた。
     
     「どうして・・・ソウイチが死ななくちゃならないの?」
    ナオミは溢れる涙を堪えながら、ソウイチに尋ねた。
    「どうして・・・だろうね。バカだからかな、僕が。」
    「世の中には死んで当然の人間もいるのよ。ソウイチは違う。なのに・・・」
    ナオミは押し寄せる感情に堪えきれず、その場にしゃがみこんだ。
    それを見たソウイチはゆっくりとナオミの傍へ来て屈むと、
    涙でいっぱいになったナオミの瞳を見つめて話し出した。
    「なぁ、この世の中に死んで当然の奴がいるかどうかはわからない。
    けどね、人は与えられた生命を精一杯、生きる責任があると思うんだ。
    結果としてさ、君にこんな悲しい想いをさせてしまったけど、
    目の前で消えそうになった命を救えたことは、幸せだと思ってる。」
     とめどなく溢れる涙で光り輝いた瞳でナオミはソウイチを見据えると
    「幸せ?誰が幸せなの?ソウイチが助けた子猫だって、この先、生きていく保証なんてないのよ。
    最後の最後まで、ソウイチは自分勝手なのよ。私の気持ちなんて微塵もわかってないのよ。」
    時計は午後11時55分を指している。
     
     「君に、ナオミに謝りたかった。だからこの1週間、探したよ。まさか、ここにいるとはね。」
    この1週間、ナオミは悲しみを紛らわすために、あちこちをふらついていた。
    それは結局、悲しみを増すだけだったけれど、
    ナオミからすれば、じっとしているほうが辛いように思えた。
    「あと5分しかない。君が僕の葬式に来てくれたら、もっと話ができたんだけどね。もう時間だ。」
    事故の一報を聞いて、ナオミは病院に向かった。
    そして真実を知ったとき、なんだか裏切られた気分になった。
    自分のためならまだしも、たかが猫のために命を捨てるなんて理解できなかった。
    だからナオミは葬式にも行かず、本当にあちこちふらついていたのだ。
    怒りと悲しみに耐え切れず。
    「僕は日本人だから、どっかで見た映画のように、天国には行かないよ。
    その代わり、ナオミが立ち直って、幸せになるまで、ちゃんと見守ってるよ。約束する。」
    そういうとソウイチはすっと立ち上がった。
    「待って、行かないでよ。まだ話したいことがあるの。」
    とっさにナオミはソウイチにすがりついた。
    「心配いらないよ。僕はどこにも行かない。逢いたくなればいつでも逢える。
    君が僕のことを忘れるくらい幸せになるまで、ちゃんとそばにいるよ。」
    ソウイチの姿が少しずつ薄れていく。
    「待って、待ってソウイチ。あたし、たくさん謝らなくちゃいけない。ソウイチに伝えたいことがたくさんあるの。」
    時計が午前0時を回った。
    ソウイチの胸に飛び込もうとした瞬間、ソウイチの姿は消えた。
    ナオミは勢いあまって、前のめりになり、目の前にアスファルトが近づいてきた。
    (受身が取れない・・・ぶつかる!)
    目を閉じたときだった。
    「おっと、危ないですよ、お姉さん。」
    ナオミはぐいっと後ろから引っ張られて、事なきを得た。
    後ろを振り返ってみると、お巡りさんが私のベルトをしっかり握っていた。
    「お姉さん、飲みすぎには気をつけてくださいね。危ないところでしたよ。」
    「あ・・・はい、どうも・・・」
    ナオミは何が起きたのかわからないまま、
    かすかに残るソウイチの温もりを抱きしめて、家路に着いた。
     
     それから一ヵ月後、ナオミには家族ができていた。
    「ほら、おいでアンジェラ。ご飯だよ。」
    アンジェラと名づけられた子猫は、ソウイチが助けた猫だ。
    あのとき見たソウイチは幻だったのかもしれない。
    けど、あの日以来、ナオミはなんとなくソウイチに見守られているような気分だった。
    そしてソウイチのお墓参りに行って以来、この子猫は毎日のように、ナオミの家にやってきたのだ。
    (猫も恩を感じるのかな)
    そんな想いから、ナオミは子猫にアンジェラと名づけて、可愛がっていた。
     
    「アンジェラ~、長生きしてくれなくちゃダメよ。ソウイチのためにも、お互い長生きしましょ。」
    「にゃん?」
    ソウイチが笑顔でアンジェラを抱き上げている姿が、浮かんだ。
     
    May 07

    新緑の息吹

    ゴールデンウィークも終わり、
    今日から皆さんお仕事ですね。
    本当にお疲れ様です。
    日々、ほげ~っと小説を綴っている僕は
    暦があんまり関係ないので、
    ベランダから吹き込む風や、風景で季節を感じる。
    今日は昨日の雨のせいか、草木の匂いが強い。
    夏に向けて生命力を高めているのがよくわかる匂いだ。
     
    こういう日は、小説が進まない。
    気持ちよすぎて、頭が回らないから。
    タバコもなくなったし(買いに行けよ)
     
    まぁ要するにこういう日は
    なぁんにもしないで
    風に吹かれてほげ~っとしているのが
    自然の摂理なのです。はい。
    May 05

    こどもの日

    今日は端午の節句、ま、こどもの日です。
    子どもというのは、親の背を見て育つと言いますが、
    正確には大人の姿を見て育つわけです。
    つまりオトナがだらしなく、下品で、礼節をわきまえていなければ、
    子どももそうなるわけです。
    給食費を踏み倒してまで一軒家を建て、自家用車を持ったりするのは、
    恥ずかしくないのかな?
    保育費を踏み倒して、贅沢な生活したいかな?
    みっともない大人が増えたな。
    先が思いやられますね。
     
    払えるのに、払わない。
    あんた、馬鹿か?

    何ができるか

    この5月で、休職してから、丸一年、経った。
    原因は病気療養のためだけれど、
    一年前と比べたらどうかと言われたら、
    良くなってはいる。
    ただ、一年前はかなりメンタル面できつかった部分があるので、
    そういう視点で見てみると、実は大して良くなってはいない。
    薬で気持ちの底上げをしているだけで、
    体は痛むし、薬のせいで、躁状態に近い。
    やたらと汗をかくし。
    だからこそ、こうして小説家を目指しているわけだけれど、
    当たり前の話、まだアマチュアだ。
    当然、収入はない。
    親元とは言え、やはり年金、保険料、ケータイ料金など、
    払うべきものを払わなければならない。
     
    僕は派遣会社に登録しているので、
    そこのカウンセリングセンターに現状を含め、今後、どういった仕事ができるか
    一つ、聞いてみることにした。
    返ってきた答えは
    「すぐに働ける人を優先するので、国の機関にご相談ください」だった。
    僕は働けないと言った覚えはない。
    僕にできる仕事は何かあるのかを聞きたかっただけだ。
    これで僕は不信感を持った。
    「厄介ごとのある人間は使わないのか?」と。
     
    僕は物を綴ることを生業としたい。
    けれど、未だその道は拓けていない。
    糧が必要だ。
    けど糧を得る術が見当たらない。
    病のことはあまり前に出さないけど、
    こういう状況になると、嫌でも出てきてしまう。
     
    健康な体になりたいと思う。
    せめて日々の痛みがなくなればと思う。
    体が痛くないということを僕は忘れた。
     
    たまには泣き言の一つも言いたくなるよ。
    こんちくしょうめ。
    May 03

    始まりはいつも雨・・・

    5月1日、2日と家族と恋人の4人で河口湖へ。
    案の定、河口湖周辺は雨。
    家族旅行をすると、必ず、雨が降る・・・
     
    僕と恋人は富士スバルランド・ドギーパークへ向かい、
    犬と戯れることにした。
    が、雨脚はひどくなり、おまけに寒くなってきた。
    ラブラドールちゃんと戯れ、園内をうろうろしていたら、
    懐かしの「ビックリハウス」があった。
    今はもう、なかなか見かけないけれど、
    昔はどこの遊園地にもあった、あの「ビックリハウス」である。
    全体的にやる気のない感じが歴史に取り残されているようで、
    わくわくした。
    平衡感覚が無くなる部屋でドリフのコント状態になりつつ、
    出口にあった「ビックリ鬼」に本当に驚かされた。
     
    それから、100円で鯉のえさを買って、二人で餌付け。
    なんだか懐かしい場所に来れたような感じが楽しかった。
    晴れていたら、パターゴルフなんかもやるつもりだったけど、
    雨脚はひどくなるばかり。
    さらに風まで出てきて、仕方なく、予定より早く、宿へ向かうことにした。
     
    「そば・べるじゅ 胡庵」は手入れの行き届いた草木に囲まれて、
    静かに僕らを待っていた。
    レンギョウやヤマブキ、山桜が美しく咲き誇っていた。
    そしてダンディーなマスターと美しい奥様の歓迎を受けて、中へ。
    「大人の隠れ家」
    まさにそんな雰囲気だった。
    ジャズが流れ、アンティーク家具に囲まれ食堂。
    そして多種多様な書籍に囲まれた書斎。
    僕はすぐに気に入った。
    今まで泊まった宿の中で、一番だ。
     
    荷物を部屋に置いて、僕はすぐに書斎へ。
    紫煙を燻らせながら、空間を楽しんだ。
    ふと目に入った三線を弾いてみる事にした。
    チューニングもなにもわからなかったけど、
    これでも一応、ギタリストの端くれである。
    何を弾くでもなく、爪弾いているだけで落ち着く。
    夕食までの数時間、僕はずっと書斎にいた。
     
    だいたい、僕は旅行に行って宿に着くと、
    部屋からはほとんど出ない。
    部屋でだらだらとTVを見ている。
    だからこんな風に、部屋にいないなんて初めてだった。
    一週間くらい、過ごしてみたいと初めて思った。
    そしてここで小説を書いたら、ペンが進むような気もした。
     
    実際、構想がまとまった。
    バンド物を書こうと思っていたから、
    その構想を煮詰めることができた。
     
    今日からまた執筆の日々。
    バイトをしようと思って、登録してある派遣会社に問い合わせをしたら、
    即、働ける人がほしいので、
    療養中の僕はお断りときた。
     
    そんな会社こっちからお断りだ。
     
    書きかけの小説をボツにして、
    心新たに、今日から新作にとりかかります。